建設不動産事業の株式会社ナミキが Google Workspace with Gemini だけで業務改善を実現した事例を公開!

建設・不動産・マンション管理など多角経営を行う株式会社ナミキでは Google Workspace with Gemini(以下、Gemini)を活用しており、Gemini 利用率92%と非常に活用が進んでいる会社です。
特筆すべきは、ITの専門知識を持たない現場社員たちが、Gemini をパートナーとして自ら業務アプリを構築し、長年の課題を次々と解決している点です。どのようにしてAIを「現場の武器」へと変え、実務を劇的に進化させていったのか、その具体的な歩みを伺いました。
プログラミング未経験の社員が現場管理アプリを自作した話
「既製品」ではなく「自作」を選んだ、攻めの判断
ナミキのAI活用が本格化したのは、第44期(2025年7月〜)の「全社AI活用宣言」とともに幕を開けました。その象徴的なプロジェクトの一つが、建設現場の管理をデジタル化するアプリの開発です。
「現場管理を強化せよ」という経営層からの特命を受けた際、担当者が直面したのは『既製品か、自作か』という選択でした。多角的な事業を展開するナミキにとって、既存のパッケージソフトでは自社のフローに100%合致するものを見つけるのが難しく、コスト面での懸念もありました。そこで同社は、Google Workspace に含まれるノーコード開発ツール「AppSheet」を使い、自らの手でアプリを構築する道を選んだのです。
プログラミング知識ゼロから、Geminiとの「対話」で開発を完遂
驚くべきは、開発を主導した担当者にはプログラミングの経験が一切なかったことです。その壁を突破する鍵となったのが、Gemini との徹底した対話でした。
「日本語で『こういう仕組みを作りたい』と Gemini に投げかけ、設定すべき箇所を一段階ずつ教わりました。エラーが出ればその内容をそのまま貼り付けて対策を聞き、分からなければ手順を問い重す。その繰り返しの3ヶ月間で、現場管理アプリが形になったのです」と、開発担当者は当時を振り返ります。
現場の満足度が高い「進化し続けるアプリ」
完成したアプリは、スプレッドシートや Google ドライブ、Google マップとシームレスに連携します。現場でスマートフォンから写真やコメントを登録するだけで、全現場の状況がリアルタイムで可視化される仕組みです。
自分たちが作ったアプリだからこそ、現場の要望に合わせて柔軟に改修を重ねることができます。この「現場にフィットし続ける」機動力こそが、自作ならではの大きな成果となりました。主な仕様は以下の通りです。

主な仕様はこうです。
- レコード情報:Google スプレッドシートに格納
- 現場写真:Google ドライブに格納
- 地図連携:Google マップ上にピンを表示し、どの現場が稼働中か一覧で確認できる
- 入力:スマートフォンから現場で直接写真・コメントを登録
公開から半年以上が経った現在も、大きな改修なしに安定稼働を続けているといいます。エリア分けの追加など小規模な調整は繰り返しているものの、社員の要望を柔軟に組み込むことができるため、現場の満足度も非常に高いとのことです。
次の壁はデータ量とデータベース
当初、Gemini と向き合いながら手探りで開発していた頃は、ここまでアプリが現場に定着し、活用されるようになるとは想像もしていなかったそうです。稼働から時間が経過し、蓄積されたデータ量が膨大になった現在、いかに処理速度を維持するかが次のテーマとなっています。
「現場の記録をすべて資産として残しつつ、いかに快適な動作を両立させるか」。この課題に対し、現在は Gemini に相談しながら、データ保存先をスプレッドシートから、より大規模なデータ処理に適した「BigQuery(Google Cloud のデータ基盤)」へ移行する検討を始めています。
「アプリが成長し、現場に欠かせないインフラになったからこそ直面した課題です。こうした発展的な悩みを持てること自体、AIと共に歩んできた成果だと感じています」と担当者が語るように、同社のAI活用は着実に次のステージへと進んでいます。
部門別の業務改善事例をご紹介
ここからは、部門ごとに走っている改善事例を紹介します。いずれも「現場の困りごと」を起点に、Google Workspace のツール(Gemini/AppSheet/GAS/Google フォーム)を組み合わせた構成です。
事例1:現場社員が自ら「GAS」を実装。お客様の信頼を技術で守る
賃貸営業部門では、「入居日」「通電作業日」「内覧可能日」「敷金・礼金」といった賃貸契約に関わる重要な情報を、3つの異なるシステムへ別々に手動で入力していました。人の手を通して情報を何度も入力する作業は、どれほど注意を払っても人為的なミスが入り込む隙を生んでしまいます。お客様へ正確な情報を届け、変わらぬ安心を提供し続けるために、ナミキはこの「入力作業」で起こる構造的な課題の解決に乗り出しました。
3つのシステムを跨ぐデータチェックを、Gemini を活用して構築した GAS で自動化し、情報の不一致があれば即座に検知・通知される仕組みを構築しました。個人の注意に依存するのではなく、構造的にミスを未然に防ぎ、迅速に対応できる体制を整えたのです。

驚くのは、この高度なチェック機能を実装したのは、実務を担う賃貸営業部門の社員自身という点です。
「『このシステムとこのシートのデータを照合したい』と Gemini に日本語で相談し、提示されたコードを一つずつ検証していきました。エラーが出れば画面をキャプチャして貼り付け、解決策を聞く。その繰り返しの末に、現場の業務フローに完全に合致したシステムが出来上がりました」と、開発に挑んだ社員は語ります。
これは、AIが単なる補助ツールを超え、「現場が自ら業務構造を刷新し、お客様の安心を守る武器」として機能し始めていることを証明しています。
事例2:カスタムAI「Gem」で資料作成の依頼をゼロに
建設営業部隊における業務課題の一つが、提案前の「物件調査と資料化」でした。従来、不動産ポータルサイトでの相場調査や見栄えの良い資料作成は他部署へ依頼しており、手元に届くまでの「待ち時間」が営業スピードを停滞させていました。
この流れを、特定の業務に特化させたカスタムAI「Gem」が劇的に変えました。
現在は、営業担当者が不動産ポータルサイトで「提案したいエリア」の相場画面をスクリーンショットし、指定の Gem に貼り付けるだけです。それだけで、画像から相場を読み取り、顧客の特性に合わせた最適な提案資料を出力してくれます。
「自分の意図したタイミングで、顧客に最適な資料を用意できる。数時間かかっていた工程が一瞬に短縮され、商談の質とスピードが飛躍的に向上しました」と、現場の営業担当者はその効果を語ります。
開発期間はわずか数日。現場が必要としていた「専用AI」を自ら作り上げることで、建設営業の機動力が大きく飛躍しました。

事例3:9万件の「日報」をAIで解析。若手がベテランの知見を即座に引き出す
土地活用の案件獲得を担う住宅事業部には、約9万件の日報が蓄積されていました。しかし、その膨大すぎる情報量を前に、これまでは必要な知見を効率的に掘り起こすことができず、組織として「人力の限界」を感じていました。大切に保管されながらも活用しきれていなかったこの経験の蓄積を、Gemini による大規模データ解析が強力な武器へと変えたのです。

現在は、特定の取引先について Gemini に問いかけるだけで、過去の膨大なやり取りから、相手の関心事や次に必要とされる情報を一瞬で導き出します。
例えば、過去の会話から『相手が今欲しがっている専門情報』や『関心の高い時事ニュース』、さらには趣味嗜好に基づいた話題まで、AIが具体的な助言を提示します。これによって、経験の浅い社員もベテランが長年築いてきた『信頼形成のプロセス』を即座に学び、自信を持って提案に臨めるようになりました。
単に調べる手間が省けただけではありません。AIが提示する多角的なヒントをもとに、営業担当者が「今、このお客様に何を届けるべきか」を主体的に判断し、行動する。この役割分担が明確になったことで、若手の即戦力化のスピードは格段に上がりました。90年近い歴史で培われた「足で稼いだ情報」が、AIを通じて次世代への強力な戦略ツールとして確実に継承されています。
まとめ
ここまで、各部門で自律的に進んでいる複数の事例を紹介してきました。
これらはいずれも、Google Workspace という、どの企業でも導入可能なツールをベースに実現したものです。
どこの組織にも必ず「新しいものに興味を持ち、可能性を感じる社員(アーリーアダプター)」が存在します。まずはその方たちに、AI活用への思いやアイデアを聞いてみてください。
ナミキが実現した変革の原動力は、決して特別な技術力ではありません。「社員一人ひとりがAIと向き合い、自ら業務を良くしていこう」という文化が根付き、その主体性を組織が応援してきた結果です。
「現場から生まれる小さな改善」が、やがて組織全体の未来を変える大きな力になる。ナミキの事例が、皆様の第一歩を踏み出すヒントになれば幸いです。
