Gemini 利用率92% 建設不動産事業の株式会社ナミキがAIを組織に浸透させた「3つのステップ」とは

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Gemini 利用率92% 建設不動産事業の株式会社ナミキがAIを組織に浸透させた「3つのステップ」とは

建設・不動産・マンション管理など多角経営を展開する株式会社ナミキ。同社が Google Workspace with Gemini(以下、Gemini)の全社利用率92%・業務定着率72%という驚異的な数字を実現した舞台裏に迫りました。どのようにしてAIを「現場の武器」へと変えていったのか、その具体的な歩みを伺います。

会長の「AI活用宣言」から始まった全社展開。利用率92%への3ステップ

起点は経営方針の刷新。トップが示した「変革への覚悟」

ナミキのAI活用が本格化したのは、第44期(2025年7月〜)からです。

その起点となったのは、ナミキグループのトップである並木会長が経営方針として掲げた「目標達成に向けた、AI活用による情報共有」でした。会長自らが「現状維持にとどまるか、AIを武器に変革を遂げるか」という問いを経営層に提示したことで、AI活用は単なるツール導入ではなく、全社の最優先経営課題として位置づけられました。

同社はこの強力なメッセージを受け、Gemini を最大限に活用するための「3ステップ」を設計。現場の混乱を最小限に抑えつつ、一気にAIを浸透させるための戦略的な展開が始まりました。

  1. まず触る
  2. 使わない人を減らす
  3. 実務に応用する

という3ステップです。この段階的な設計が、6ヶ月で利用率92%、定着率72%まで押し上げた背景になりました。

①まず触る

最初の3ヶ月で目指したのは「垂直立ち上げ」です。

「深い理解や高度な応用は後回しでもいい。まずは全社員が一度は触れたことがある状態を最短で作る」ことを最優先しました。

そのために、具体的な活用イメージが湧く研修動画を自社で制作・配信。ITツールに馴染みが薄い層でも、自分のペースでいつでも視聴・学習できる環境を整え、まずは「AIとの心理的距離」を縮めることに徹底しました。

②「活用への心理的ハードル」を解消し、誰一人取り残さない

全体研修の次に注力したのは、個々の業務課題に寄り添う「伴走型の個別フォロー」でした。

全体研修だけでは、どうしても自分事として捉えにくい層が出てくるのは自然なことです。そこでナミキでは、まだ活用のきっかけを掴めていない社員を対象に、少人数制のワークショップを実施しました。

「大人数の場では遠慮してしまいがちな現場の悩みも、個別の場であれば『実はこの作業に困っている』『これが自動化できたら助かる』といった声が上がってきます。その一つひとつの課題に対し、その場で Gemini を使って解決策を提示する。目の前で業務が劇的に効率化される瞬間を体験してもらうことで、『これは本当に役立つ武器だ』という確信に変わるのです。このダイレクトな成功体験こそが、定着への最大の鍵となりました」

一度でも「自分の仕事が楽になった」と実感できれば、自発的な継続利用に繋がります。この「現場の困りごと」に徹底してクラッチを合わせる姿勢が、高い定着率を支えています。

③「使う」から「成果を出す」へ。組織を牽引するリーダーの育成

2026年4月現在、ナミキのAI活用は「個人の利用」から「組織としての成果創出」という一段上のフェーズへ移行しています。

その象徴が、各部門から選抜されたメンバーによる実務応用研修です。ここでは単なる操作スキルの習得ではなく、自らの現場課題をAIでどう解決するかという「実務への応用」を追求します。選抜メンバーが研修で得た最新情報、成功事例を自部門専用AIとして使える形で横展開し、組織全体に最適化された形へ還元する。

この「自走の連鎖」を生む仕組みこそが、AIを単なるツールで終わらせず、会社全体の成長エンジンへと昇華させる鍵となります。

データが示す、組織変革の確かな手応え

ここまで、全社展開における3つのフェーズを紹介してきましたが、その成果は明確な数字となって表れています。取り組み開始からわずか6ヶ月で、340名の社員のうち、Gemini 利用者は92%、日々の業務に定着した社員は72%に達しました。

この数字は、組織全体が新しい技術を自分たちの武器として受け入れ始めた証と言えます。一方で、営業やバックオフィス部門に比べ、清掃や資材管理、現場監督といったフィールドワークが中心の部門では、活用を日常に浸透させていくステップが、今まさに進行している段階です。

しかし、これは裏を返せば、それだけ大きな「伸び代」が残っているということ。現場に合わせた最適な『活用の形』を一つずつ丁寧に見つけていくプロセスは、今後も続いていきます。

「AI活用者ほど評価が高い」は本当か? データが証明した、生産性と Gemini の意外な関係

ここからは、社内に大きな波紋を広げたひとつのデータの話です。

きっかけは、経営会議で示した「1枚の資料」

AI活用をさらに加速させるターニングポイントとなったのは、経営会議で提示されたある分析データでした。

AI推進部門の担当者は Gemini の活用状況と人事評価の相関性について一つの仮説を立てました。「AIを日常的に使いこなしている社員は、自ずと生産性が高まり、それが評価にも反映されているのではないか」という問いです。

実際に管理コンソールの利用データと評価結果を照らし合わせたところ、結果は顕著でした。ナミキの評価指標である「行動評価」と「目標チャレンジ」の双方において、Gemini を高頻度で活用している社員ほど、高い評価(評価A)を獲得している傾向が明らかになったのです。

データが示した、AI活用の「真の価値」

この客観的な事実が提示された瞬間、経営層の関心は一気に高まりました。AI活用が単なる「ツールの導入」ではなく、個人のパフォーマンスを最大化し、ひいては会社全体の競争力を高めるための「不可欠な戦略」であることを、データが雄弁に物語っていたからです。

「経営陣は、このデータが示す組織の可能性を鋭く捉えてくれました。現状維持のまま人力のみで対応するよりも、AIという武器を手に取ることで、圧倒的なスピードと精度で成果を出せる。その事実が共有されたことで、全社的なバックアップ体制はより強固なものとなりました」(担当者談)

「成果を出すための武器」としての定着へ

もっとも、この結果は「AIを使えば評価が上がる」という単純な因果関係だけを指すものではありません。自ら新しい技術を学び、実務に応用しようとする意欲の高い社員が、AIを味方につけることでその能力をさらに伸ばしている、という相関関係でもあります。

現在ナミキでは、この「AIによる生産性の向上」を組織全体の標準とするべく、AI活用の習熟度を評価指標の一つとして取り入れる検討も進んでいます。これは、AIを使いこなすことが社員一人ひとりの成果を正当に後押しし、会社にとっても最大のメリットを生むという確信に基づいた、次なる取り組みです。

変革期における心理的課題と、組織としての向き合い方

伝統と革新の狭間で生じる「心理的ハードル」

れは、創業から90年近い歴史の中で築き上げてきた、対面でのコミュニケーションや手触り感のある現場業務を大切にするナミキの企業文化の現れでもあります。

同社は、こうした「変化をためらう声」の中にある本質的な課題を、冷静に、かつ温かく受け止めています。

「研修後のアンケートでは、『今のやり方で十分に成果が出ている』『AIに任せると人間が成長しなくなる』といった、率直な意見も届きます。また、自身の業務範囲を明確に線引きし、『自分には必要ない』と限界を決めてしまう傾向も一部で見受けられました。しかし、これは決して個人の能力の問題ではなく、変化の激しい時代に対する戸惑いの一種だと考えています」

「仕事を奪う存在」から「価値を高めるパートナー」へ

中には、「バックオフィス業務がAIに置き換わるなら、現場の仕事に移りたい」という不安の声が上がることもありました。定型業務が自動化されることへの切実な危機感です。これに対し、「AIは仕事を奪うものではなく、私たちを単純作業から解放し、より付加価値の高い『人間らしい仕事』へとシフトさせてくれるパートナーである」というメッセージを伝え続けています。

全員を拾い上げる「ナミキ流」のDX

「効率だけを追い求めるなら、使いこなせる人だけで進めるのが早いのかもしれません。しかし私たちは、あえて非アクティブな層へのフォローを継続することを選んでいます。ナミキという一つのチームとして、全員がこの変革の恩恵を受けられる状態を目指したいのです」

定着率をさらに高めるのか、あるいは活用の深さを追求するのか。この問いに対する正解はありませんが、ナミキは「誰一人取り残さない」という姿勢を崩さず、老舗企業ならではの粘り強さで、組織全体の底上げを図っています。

テクノロジーと人間力が融合する、ナミキの進化

ナミキの挑戦に「完成」はありません。今この瞬間も、同社ではAIを「実務を自律的に動かすパートナー」へと昇華させる取り組みが続いています。

象徴的なのは、各部門で巻き起こっている「現場社員による開発」の波です。非エンジニアの社員が自ら自部門で必要なアプリを構築し、さらにはAIエージェントを自作して業務の自己改革を行っています。その成果を部内へ横展開することで組織のアップデートを推し進める。こうした高度な実装を、大手の背中を追うのではなく、独自の機動力で実務に落とし込み、成果を出し続けています。

しかし、その攻めの姿勢を支えているのは、90年近い歴史で培った「誰一人取り残さない」という、極めて人間味のある企業文化です。最新のテクノロジーを、伝統ある組織の隅々にまで温かく浸透させていく。

この「革新」と「包容力」の融合こそがナミキの強さであり、建設・不動産業界の新しいスタンダードを、今日も現場から創り出しています。

まとめ:全社AI定着を成功させるための指針

ナミキの歩みを参考に、自社でAI定着を推進するためのポイントを整理すると、以下の3つの基本原則と1つの発展的な仕組みに集約されます。

組織に浸透させるための「3つの基本原則」

1.経営層による「変革の意志」の明示

トップがAI活用を全社目標として掲げ、変革への覚悟を組織全体に共有することがすべての起点となります。

2.「全員が一度は触れる」環境づくり

まずは動画研修などを通じて、ハードルを下げて母数を増やす。深い理解よりも、まずは「触れたことがある」状態を最短で作ります。

3.個別の悩みに寄り添う「伴走型フォロー」

利用が進まない層を特定し、少人数で課題をヒアリング。その場で解決策を示す成功体験こそが、確かな定着を生みます。

さらなる成長を生む「自走の仕組み」

実務への応用と、部門内での横展開

選抜メンバーが自律的にAIを使いこなし、その成功事例を自部門へ還元する仕組みを作ることで、AIは単なるツールを超えて組織の成長エンジンへと進化します。

いずれも特別な技術や新たな投資は必要ありません。既に Google Workspace を導入している企業であれば、明日からでも着手できるはずです。まずは小さな成功体験を、組織全体で共有することから始めてみませんか。

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