Microsoft、個人版と法人版の Copilot アプリを1つに統合

社内チャット・掲示板で共有

Microsoft はこれまで個人向けと法人向けで別々に提供してきた2つの Copilot アプリを、単一の「Microsoft Copilot」アプリへ統合すると発表し、ロールアウトを開始した。統合対象は、一般消費者向けの「Copilot」アプリと、Word や Excel などの生産性ツールと連携する法人向けの「Microsoft 365 Copilot」アプリで、両者は今後、同じ名称・新しい共通アイコンの1つのアプリにまとめられる。Microsoft はこれを「よりシンプルで一貫した体験」を全ユーザーに届けるための取り組みと位置づけている。

統合後のアプリでは、個人用の Microsoft アカウントと、職場・学校用の Microsoft Entra ID アカウントの両方でサインインでき、アカウントスイッチャーで両者を切り替えながら利用できる。個人用と業務用のデータは引き続き分離され、一方のアカウントで入力した内容が他方へ流れることはない。Microsoft は、法人向けの商用データ境界、テナント管理、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスといった統制は今回の統合で変更されないと強調している。視認性の面では、アカウント種別ごとに背景色を変え、職場アカウントには「Work」ラベルとデータ保護シールドを表示することで、今個人用と業務用のどちらを使っているかを一目で判別できるようにした。

利用者への影響は、現在どのアプリを使っているかで異なる。個人向け Copilot アプリの利用者は、更新版アプリへ自動的に移行され、チャット履歴や作成済みコンテンツの大半も引き継がれる。モバイルでは更新版アプリのダウンロードが必要になる場合があり、Webではそのまま新しい体験へ転送される。従来のスタンドアロン版で共有・生成したファイルは OneDrive へ移され、追加容量が必要な場合は Microsoft 365 サブスクリプションで拡張できる。一方、法人・学校向けの Microsoft 365 Copilot アプリを使っている場合の変更は小さく、名称とアイコンの更新、ナビゲーションの微修正が中心で、新たに Copilot チャットへ直接アクセスできるようになる。

ロールアウトは段階的に進む。2026年8月中旬にモバイルとWeb版で世界規模の展開が始まり、Windows と Mac 版はオプトインの先行利用を経て、2026年9月中旬に世界規模で提供される。WebのURLは「m365.cloud.microsoft」から「copilot.cloud.microsoft」へ変更され、8月下旬から自動転送が順次始まる。切り替え時期はアカウントや端末によって異なり、全ての利用者が同じ日に移行するわけではない。

統合に合わせて、いくつかの機能は終了する。個人向け Copilot では、2026年8月18日から Podcasts、Group Chat、そして消費者向けの Deep Research が順次終了・制限される。Group Chat の会話は Copilot との1対1チャットへ移行するが、他の参加者が投稿したメッセージやメディアにはアクセスできなくなり、Podcasts は同日以降、新規作成も過去音声の再生もできなくなる。残したいコンテンツは、アカウント更新前に個別にダウンロードしておく必要がある。音声モードのキャラクター「Mico」は通常の会話画面から姿を消し、学習体験「Learn Live」へ移る。実験的機能を提供してきた Copilot Labs も終了する。詳細な調査レポートを作る Deep Research の後継としては「Researcher」が用意され、個人ユーザーは Microsoft 365 Premium の契約で利用できる。

アプリ自体や基本的なチャット機能が有料化されるわけではない。無料ユーザーも、利用可能な容量と上限の範囲内で、チャット、画像生成、ファイルのアップロードなどを引き続き利用できる。上限に達した場合は、有料プランへのアップグレードか、時間を置いての再利用となる。Microsoft 365 の契約者には、より高い利用上限や高度な AI 機能、先進的なモデルが提供される。

今回の統合は、Microsoft が年内に投入を予定する Copilot「スーパーアプリ」構想への第一歩と位置づけられている。スーパーアプリでは、チャットやAIコーディング、長時間タスクを自律実行する「Copilot Cowork」、そして新たなエージェント層「AutoPilot」を1つのアプリへ束ねる計画で、Satya Nadella CEOは7月29日の決算説明で、今四半期中(9月末まで)の提供を示唆している。背景には、Microsoft 365 の商用シートが4億5,000万規模に達する一方、有料 Copilot への転換が伸び悩んでいるという事情がある。Microsoft はアプリの乱立と名称の分かりにくさを整理し、日常的に使われる単一のAIアシスタントへとまとめ直すことで、ChatGPT や Gemini、Claude との競争力を高めようとしている。

総じて今回の発表は、ばらばらだった Copilot 群を1つの入口へ集約し、個人と仕事の垣根をまたいで使えるAIアシスタントへ再編する動きといえる。データ分離とエンタープライズ統制を維持したまま、個人用と業務用を同じアプリで切り替えられる設計とし、機能の取捨選択も進めた。今回のアプリ統合は、Microsoft が目指す“スーパーアプリ”に向けた土台づくりであり、Copilot 事業を「実際に使われる製品」へと立て直すための本格的な一手として位置づけられる。

Updates to Copilot and the Microsoft Copilot app|Microsoft

support.microsoft.com

参考リンク

自社の・自分のAI活用状況が分かる!カンタンAI活用診断を公開中

社内チャット・掲示板で共有

会社で働くみなさん、本当にAI活用できていますか?

グループ内のAI活用を推し進める傍ら、お客様にもAIソリューションを提供しているUSEN&U-NEXT GROUPの知見と、
各業界のAIリードカンパニーへのインタビューなどを通じて、
企業におけるAI活用の実態やノウハウ、問題点などを記事で公開しています。

記事一覧へ

自社の・自分のAI活用状況が分かる!カンタンAI活用診断を公開中

診断する